学習する組織 ―― システム思考で未来を創造する
原題 : The Fifth Discipline : The Art and Practice of the Learning Organization
以前の版 : 最強組織の法則
著者 : ピーター・センゲ (Peter M. Senge)
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学習する組織についての書籍
W. Edwards Deming (W・エドワード・デミング) 博士は、マネジメントの一般的体系が職場の人たちを破壊してきたと考えている
博士は、総合的品質管理 (TQM) という言葉をほとんど使わなくなっていた
マネジメントの一般的体系を変えるには教育の一般的体系を変える必要
チームの中核的な学習能力
SoL ってなんやろ
1 章
問題を分けろと言われて育つが、それによって全体を把握する能力が欠如する
学習する組織と権威主義的なコントロールを基盤とする組織の違いは、基本ディシプリンを備えているかどうか → 学習する組織の 5 つのディシプリン (規律や鍛錬) が極めて重要
学習する組織に起こることを正確に言い表している言葉 : メタノイア
真の学習
学習する組織とは、未来を創り出す能力を持続的に伸ばしている組織
生き残るための適応学習だけでなく、それが未来創造のための生成的学習と結びつく必要
より実用的なツールや事例を載せた 『フィールドブック学習する組織 「5 つの能力」』 (1994 年) も執筆
本書は企業の経営幹部だけでなく、教師や政治家、学生や親も含めて、学習者 (特に集団学習の技術と実践に関心のある人たち) が対象
2 章
学習障害の要因 : 局所最適 (あるいはサイロ化)、他責、短期的視野、意思決定の結果を学習しづらい、熟練した無能、など
バーバラ・タックマン 『愚行の世界史』 に歴史的な事例
3 章
学習障害が作用する様を観察するにはラボ実験から始めると良い
ビール・ゲーム
在庫の加速理論
システム思考の第一の原則 : 構造が挙動に影響を与える
スタンフォード監獄実験
2 部 システム思考 ― 「学習する組織」 の要
4 章 システム思考の法則
相殺フィードバック
介入者への問題のすり替わり
長期的な問題解決は、システムがそれ自身の問題を引き受ける能力を高めるものでなければならない
原因と結果は、時間的にも空間的にも近くにあるとは限らない
レバレッジ : 小さな、的を絞った行動を正しい場所で行うことで、持続的に大きな改善をなしうる
難題とは、最小限の努力で持続的に大きな改善を引き起こすであろう変化を見つけることの場合が多い
見つけることが難しい
トリム・タブのメタファー
構造を見ることと、変化のプロセスの観点
品質と生産性の両立ができないと考えるのはスナップショットで考えているから (短期的、静態的思考)
システム境界の原則
解決策は関係の中にある
5 章
システム思考
システム思考が必要な例
米ソ軍拡競争
対テロ戦争
終わりのない攻撃性の繰り返し
種類による複雑性とダイナミック (動的) な複雑性
ダイナミック (動的) な複雑性を理解することこそ重要
大半のシステム分析は、動的な複雑性を扱うようにはできていない
6 章
システム原型あるいは一般的構造
システム思考に最も大きく期待できることは、あらゆる分野の知識の統合
7 章
成長と投資不足 (システム原型)
見えにくい要因
徐々に起こる (ゆでガエル症候群)
注意が必要な緊急の問題が多いため、大きなパターンを見れない
システム思考では、種類による複雑性を整理した上で、その根底にある変化を生む構造を見る
まずは細部を見ることから
3 部 核となるディシプリン
8 章 自己マスタリー
個人の学習なくして組織の学習なし
稲盛和夫の 「人が原動力」 という言葉
経営者としての義務は、社員に物心両面の幸福を与えること
ビル・オブライエンも、社員が最大限豊かな人生を送れる環境の提供を重要視
社員の全人的な発達が、超優良企業になるために不可欠
nobuoka.icon 心理学的経営も同じ思想
人の発達を組織の目標達成の手段とみなすと、個人と組織の間の関係の価値を損ねてしまう
契約は関係の一部でしかなく、完全な関係には誓約が必要
自己マスタリーへの抵抗
理性と直観の統合
相互関連性、思いやり → 構造を理解しようとする
組織で自己マスタリーを育む
自己マスタリーの原則が日常生活で実践される環境を整える
メンバーが安心してビジョンを描く
真実の探求、真実に忠実であること
現状に異議を唱えることが期待される組織
9 章 メンタル・モデル
メンタルモデル
メンタルモデルをうまく扱った例
1972 年に OPEC が引き起こした石油危機をロイヤル・ダッチ・シェルが乗り越えた話
マネジャーのメンタルモデルを変えた
ブリティッシュ・ペトロリアム (BP) の成長
ハノーバーは開放性とメリットの価値観を明言
クリス・アージリスのツールの研修と、ジョン・ベケットの機械的思考の限界のワークショップを一本化
使用理論と信奉理論の乖離は、創造的な変化の可能性
使用理論に気づくのは難しいため、思いやりのあるパートナーの助けが必要
抽象化の飛躍 : 人は具体的な事象を抽象化するのが得意
間違った一般化をしてしまうことがある
具体化すること
左側の台詞
頭では考えていたが口に出さなかったこと
それが実際の言動にどう影響していたか
探求と主張のバランスをとる
相互探求
10 章 共有ビジョン
共有ビジョン
11 章 チーム学習
合致 (アラインメント) : 人の集団が全体として機能する場合の現象
目的の共通性と共有ビジョンがあり、どうすれば互いの努力を補えるか理解している
チーム学習
4 部 実践からの振り返り
12 章 基盤
参加的な開放性 (表現的な開放性) と内省的な開放性
変化を促すつながり
ロカ、平和維持サークル (集団による内省の慣習)、協働学習
組織を生きているシステムとして捉える
組織のことを、生きているシステムではなく機械のように捉えることが多い
長長寿の企業は、自らを利益追求の機関としてよりも、人のコミュニティとして考える傾向
VISA はほかの多くの大企業とは異なる様相を呈している ← 生きているシステムとして捉えている
カオディック (chaordic)
協働は知識管理 (ナレッジマネジメント) の裏面
nobuoka.icon SECI スパイラル (SECI モデル) っぽい
知識ネットワーク、協働ネットワーク
社会的ネットワークの地図
物理科学の考え方が産業時代を支配したように、生命科学の考え方が知識時代を支配する
company (企業) の語源は、フランス語の compaigne (カンパーニュ) = パンを分け合う、である
13 章 推進力
学習志向の文化を構築することは困難なこと
世界銀行の例
志
適応する組織、学習する組織
14 章 戦略
学習する組織を構築するうえで、戦略的に考え、行動する
15 章 リーダーの新しい仕事
孔子
指導者になるには、まず、人間にならなくてはならない
リーダーシップの育成に関する 7 つの瞑想空間についての発展的な理論
『大学 (孔子)』
分散型リーダーシップ
現場のリーダー
ネットワーク・リーダー : 種を運び、つなげる人
幹部クラスのリーダー
学習する組織におけるリーダーの役割
数字の暴君
16 章
地球規模のネットワーク
企業はより大きなシステムの中に存在
システム市民
地球規模のシステム
戦略的縮図
大きな不安をもたらす複雑な問題に直面するとき、人は特定のイデオロギー (唯一の答え) に逃げ込むことが楽なこと
集団のイデオロギーが他の集団に共有されることはめったになく、イデオロギーがアイデンティティと化し、二極化が自己強化される
子どもたちは生まれながらのシステム思考家
17 章 「学習する組織」 の最前線
SoL による学習の定義 : 個人や集団として、心から創り出したい結果を実現させる能力を向上させるプロセス
知的理解の偏重ではなく、成果につながる行動の能力を築く
長い時間 (しばしばかなり長い時間) をかけて能力が築かれる
3 つの敷居
思考を開くこと
心を開くこと
意志を開くこと
5 部 結び
18 章 分かたれることのない全体
ガイア理論
付録 1 学習のディシプリン
3 つのレベル : 実践、原則、真髄
『図解 組織開発入門 組織づくりの基礎をイチから学びたい人のための 「理論と実践」 100 のツボ』 での紹介
センゲは、「リーダーとは設計者であり、執事であり、かつ教師」 だと言っている
カリスマ的指導者としてのリーダーを否定
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